下肢静脈瘤の治療
下肢静脈瘤のタイプによって選択すべき治療法が異なり、3種類に分類できます。
●血管内レーザー治療
●高周波カテーテル治療
●血管内塞栓術(グルー治療)
●このような治療を受けずに症状のみやわらげたい方には弾性ストッキングをお勧めします。
弾性ストッキングなどを使った圧迫療法は、症状を和らげ、進行を防止することが目的であり、下肢静脈瘤そのものを治療する効果はありません。
血液の逆流があるタイプ(状在型)
血管内レーザー治療
膝内側かふくらはぎから細いレーザーファイバーを挿入して、伏在静脈本幹をレーザー照射することで血管壁が温められ縮小し、直後に中の血液が固まることで、血管を塞ぐことができます。
これにより、血液の逆流を止めます。
高周波カテーテル治療
膝内側かふくらはぎからカテーテルを挿入し、伏在静脈本幹を熱することで血管壁が温められ縮小し、直後に中の血液が固まることで、血管を塞ぐことができます。
これにより、血液の逆流を止めます。
当院では保険適応されたことと同時に導入し、治療を行なっております。
血管内塞栓術(グルー治療)
まつもとデイクリニックでは、下肢静脈瘤に対する血管内塞栓術(グルー治療)である『ベナシール治療』にも対応しています
血管内塞栓術(グルー治療)はベナシール治療とも言い、医療用の瞬間接着剤を静脈の中に注入し固めて、逆流をとめる新しい治療方法です。
ベナシール治療では血管を焼灼させることはないので合併症がほとんどおこらず、神経の近くの施術でも患者さまが安心して受けられる治療方法です。
まつもとデイクリニックはこの『ベナシール治療』にも対応していますので、お気軽にご相談ください。
血液の逆流があるが、浅くて血管が蛇行しているタイプ(一部側枝型)
血液の逆流がないタイプ(網目状・クモの巣状)
硬化療法を行います。(上記をご覧ください)
●今すぐ上記の治療を受けずに症状のみ和らげたい場合など
このような治療を受けずに症状のみやわらげたい方には「弾性ストッキング」をお勧めします。
弾性ストッキング
弾性ストッキングは、足に適度な圧力をかけることで余計な血液が足に溜まることを予防し、あわせて足の深部にある静脈への流れを助ける医療用のストッキングです。着用は、朝、起きたら履いて、寝るときは外します。
医療用の弾性ストッキングは、足首への圧迫が一番強く、上に行くに従って段階的に圧力が弱くなるよう設計されています。これは段階的圧迫法と呼ばれるもので、これにより血液が心臓の方に戻りやすくなります。ただし、正しく装着しないと十分な効果を得ることができませんし、トラブルになる可能性もありますので、しっかりと指導を受ける必要があります。
弾性ストッキングなどを使った圧迫療法は、症状を和らげ、進行を防止することが目的であり、下肢静脈瘤そのものを治療する効果はありません。
瘤切除
血管内レーザー治療や高周波カテーテル治療は浅い部分や太い部分には、不適切な場合があります。このような部位は治療後に硬いしこりとして数ヶ月残るため浅い部分や太い部分の治療には、切除が望ましい場合があります。
現在では、TLA麻酔という薄い濃度の局所麻酔を多量に注入することで、小さな傷で切除することが可能になりました。通常は血管内レーザー治療や高周波カテーテル治療と同時に行うことが多いですが、一部の側枝型の治療にも用いることができます。
硬化療法
硬化剤の注射と弾性包帯による圧迫で患部の静脈を閉塞させる治療法です。
治療の対象は、クモの巣状タイプや網目状タイプが主体ですが、一部の側枝型も適応となります。
また、伏在型の本幹をレーザーや高周波で治療した後に遺残した瘤あるいは部分的に再発した瘤も適応となります。
まず血管を固める硬化剤を静脈に注射し、弾性包帯で圧迫することで血管の内側を圧着させます。その後、閉塞した静脈は徐々に縮小して組織に吸収され、最終的には消えていきます。硬化させた瘤の早期消失を期待したい場合は、TLA麻酔下に行う小切開からの瘤切除術も考慮するべきです。
治療当日の流れ
1、治療準備
治療着に着替えていただき、足の静脈エコー検査をし、治療部位の確認をした上で、マーキングを行います。
2、治療室に入室
治療室に移動して、点滴、心電図、血圧などのモニターを付けるなどの準備を行います。
3、治療開始
鎮静剤を投与し、眠った状態で、局所麻酔を行い、治療を開始いたします。必要に応じて目立つコブの切除を同時に行います。治療所要時間は20〜40分前後です。
4、治療室を退室
治療終了後は、専用のストッキングを装着し、歩いて退室します。お着替え後、術後の診察を受け帰宅いただきます。
5、術後について
翌日にご来院いただき、足の静脈エコー検査を行い、治療経過の確認を行います。
これを行うことで、きちんと逆流が止まったか、血栓のフタが大きすぎないかなどのチェックをします。
その後は、3~14日目の間に1~2回来院して、創部の確認を行います。
以後は年に2回経過観察のための来院をお勧めしています。
手術日の注意事項
午後に下肢静脈瘤の日帰り手術がある場合は、朝食や朝の薬も(特別な指示があるもの以外は)いつも通り服用してください。
午前中に通常の仕事や軽い運動はしてかまいません。
昼食は食べないでください。満腹状態で手術を受けた場合、万一気持ち悪くなって嘔吐すると食べ物等が肺へ流れ込む可能性があります。
手術前は十分水分を取ってください。脱水症状になると血圧が不安定になり静脈血栓ができやすくなります。
当日は入浴はできませんが、翌日からシャワーなら可能です。専門の防水シールで傷を覆えば濡れる心配ありません。
手術翌日から仕事復帰も可能です。
下肢静脈瘤治療実績
日帰り下肢静脈瘤血管内レーザー治療は、切開せずに治せることが大きな特徴です。
小さな穴に細いレーザーファイバーを挿入し、静脈を縮めて足のむくみ・だるさ・痛みなどの症状や皮膚病の原因となる血液逆流を遮断します。
2~3時間で手術完了し、また、傷がないため美容の観点からも優れた治療法です。
なお、レーザー治療は「ELVeS1470および2リングファイバー(保険適用)」を導入し、比較的重症でも痛みの少ない治療が実現できております。また、「高周波カテーテル治療(保険適用)」も導入し、より軽症の方を対象に治療を行っています。さらに、2020年より焼灼術では熱による神経障害に生じやすい部位に対しては、積極的に「血管内栓塞術(ベナシール治療・保険適用)」も行っています。
日帰り下肢静脈瘤手術
(ストッピング手術など)
平成18年(9月〜12月)
137件
平成19年(1月〜12月)
539件
平成20年(1月〜12月)
861件
平成21年(1月〜12月)
764件
平成22年(1月〜12月)
673件
平成23年(1月〜12月)
256件
平成24年(1月〜12月)
25件
平成25年(1月〜12月)
29件
平成26年(1月〜12月)
30件
平成27年(1月〜12月)
31件
平成28年(1月〜12月)
29件
平成29年(1月〜12月)
40件
平成30年(1月〜12月)
21件
平成31年(1月〜12月)
22件
令和2年(1月〜12月)
32件
令和3年(1月〜12月)
33件
令和4年(1月〜3月)
4件
合計
3526件
日帰り下肢静脈瘤血管内レーザー治療
平成23年(2月〜12月)
609件
平成24年(1月〜12月)
880件
平成25年(1月〜12月)
957件
平成26年(1月〜12月)
1103件
平成27年(1月〜12月)
1023件
平成28年(1月〜12月)
979件
平成29年(1月〜12月)
742件
平成30年(1月〜12月)
814件
平成31年(1月〜12月)
975件
令和44年(1月〜12月)
725件
令和3年(1月〜12月)
322件
令和4年(1月〜3月)
56件
合計
9185件
日帰り下肢静脈瘤
高周波カテーテル治療
平成26年(1月〜12月)
13件
平成27年(1月〜12月)
121件
平成28年(1月〜12月)
165件
平成29年(1月〜12月)
226件
平成30年(1月〜12月)
152件
平成31年(1月〜12月)
35件
令和2年(1月〜12月)
1件
令和3年(1月〜12月)
224件
令和4年(1月〜3月)
38件
合計
975件
硬化療法
平成18年(1月〜12月)
39件
平成19年(1月〜12月)
122件
平成20年(1月〜12月)
87件
平成21年(1月〜12月)
48件
平成22年(1月〜12月)
20件
平成23年(1月〜12月)
33件
平成24年(1月〜12月)
27件
平成25年(1月〜12月)
35件
平成26年(1月〜12月)
45件
平成27年(1月〜12月)
39件
平成28年(1月〜12月)
25件
平成29年(1月〜12月)
11件
平成30年(1月〜12月)
13件
平成31年(1月〜12月)
10件
令和2年(1月〜12月)
6件
令和3年(1月〜12月)
16件
令和4年(1月〜3月)
1件
合計
577件
※両側同時施行は2件として換算
日帰り下肢静脈瘤手術
血管内栓塞術(ベナシール治療)
令和2年(1月〜12月)
3件
令和3年(1月〜12月)
33件
令和4年(1月〜3月)
14件
合計
50件